職場環境の現状
エンジニアの仕事はよく3Kだと言われます。きつい・厳しい・帰れない。そう囁かれるのも当然で、やりがいがある反面、トラブルがあるとその問題解決の為であれば昼夜問わず、休日問わず出勤し、解決するべく奮闘しなければならないのです。その責任は重く、緻密に根気よく作業をしなくてはいけません。あくまで会社や仕事によっては異なってきますが、納期に間に合わせる為に3日徹夜ということもあるようです。
労働法の改正で労働時間が減ったかと言えばそうでもなく、元々がサービス残業を多くしている彼らは、残業などないことになっているわけですから、法が改善されようが大きな変化はないわけです。(もちろんこうした変化は大切なのですが)しかし、そこにはそうせざるを得ない単価でしか仕事がとれない、なんていう現実が潜んでいるのではないかと思われます。
最近では多くの企業がノー残業デイを作って環境の改善に取り組んでいるようですが、ノー残業デイはあくまで残業をしてはいけない日という意味です。その日にやるべきだった仕事をやっといてあげるよ、今日の仕事はなしにして早く帰っていいよ、という日ではありません。あくまでその日できなかった仕事は他の日や他の誰かの肩の上にのしかかり、結局のところ、違う日に泊まり込みでやらなくてはならないようなことになるわけです。一般的には給料が高いのかもしれませんが、実際それだけ働いるのであって、決して割がいいわけではありません。むしろ、労働時間や会社への貢献を考えて、少ないと感じているエンジニアもかなり多いようです。
しかし、そんな現状でもエンジニアという仕事を誇りに思っている・満足している人が多く存在するのはなぜか。それはエンジニアの仕事は、達成感がわかりやすく得られるからです。開発中は山あり谷ありと起伏があるのですが、それを全部乗り越えてプロジェクトを成功させたときには、開放感・達成感・満足感を同時に感じ、自分を褒めてあげたくなるような仕事です。だからこそ責任が大きく、楽ではないのですが、仕事を通しての成長もあり、自分自身に価値を与えてあげたくなるのです。
働きづらい環境
残業や給料の問題以外に問題点として言えるのが、人間関係です。エンジニアの仕事は作業効率の良いエンジニア(優秀な人)に仕事が集中してしまう傾向にあります。会社側からすれば能率をあげる為に無意識にでもそうなってしまうのでしょうが、本人からすればたまったものではありません。横で作業している一般的能率のエンジニア以上に仕事をこなし、長時間働いても給料が変わらないという状態もよくあることです。
エンジニアにとって理想的なのは、優秀なAさんと一般的なBさんが同じ時間で終わるような量を考えてAさんに仕事を多く与え、給料は仕事の成果を見てAさんに多く与える、ということでした。労働時間ではなく、仕事量や成果で見てほしいのは優秀な人であれば当然でしょう。
そんな環境を現実にするには上司がきちんと能力を見極めた上で仕事を与え、管理者として正当な評価を下す必要があります。そんな理想的な上司など、なかなか巡り合うはずもなく、エンジニアのストレスは溜まる一方なのです。
その他にも、仕切りもない狭い場所での作業で、プライバシーが全くなかったり、コミュニケーションの空間がないこともエンジニアにとって大きなストレスを感じる職場環境となります。エンジニアは一日中そこの席で作業をするわけですから、手も伸ばせないような席で常に隣に人がいたり、ちょっとしたことを相談する相手もいなかったり、後ろから常に上司に見張られているような座席であったりすると、精神的なダメージを受け、極度のストレス状態で病気になったり、会社に来られなくなったりする人もいます。残業も多く、一日ほぼオフィスで過ごすエンジニアにとって働く環境というのは、絶対的なものなのです。
転職を考える瞬間
エンジニアの約8割の人が転職を考えた瞬間があるようです。では、どんな時に転職を考えるのでしょうか。
まず1つ目は、人間関係。そのうちの8割以上の人が上司との関係を挙げています。手柄を横取りしたり、責任をなすりつけるような上司、また仕事柄うつになってしまったのにそれに対する理解が全くないような社長、そんな現実を目の当たりにした時、転職を考えるようです。
2つ目は、評価・待遇への不満。大きな成果を残したのに給料に反映されない、何もしてない社員が自分より多く給料をもらっている、年上というだけで昇進したなど、頑張りや成果をきちんと評価しないことへの不満が転職を考えるきっかけになるようです。
3つ目は、労働時間・職場環境。月間労働時間が400時間を超えた人や、新婚1ヵ月で海外赴任を言い渡されたり、月に1回しか休みがないなど、現実的にもう無理だろうという限界まで追い込まれて転職を考えるに至る人もいます。
そして4つ目は、将来・キャリアへの不安。割合的には少ないようですが、これは継続的に感じているものでしょう。これに加え、上記の要因で転機を迎えるのだと、考えられます。その中身は、自分自身への不安よりも会社の経営状態への不安が6割を占めていて、現代の世相を反映しています。
このように、様々な原因が挙げられているのですが、そんな彼らがきまって言うのが、短気は損気・よく考えて転職したほうがいい、ということ。ステップアップやキャリアアップの可能性として前向きで考えている反面、危険・最後の手段とリスクのあるものと考えている人も多くいます。転職を考えても実際に転職する人は4割に満たない状態です。転職してやる!という瞬間があっても、まず一度冷静になり、自分にとって何が大切なのか、将来どうなりたいのか、この会社では解決しないのか、などを十分に吟味し、しっかりとした計画をたてることが大切です。
それでは、転職を成功させるにはどうしたらいいのかを考えてみましょう。
エンジニアの働き方
エンジニアの働き方は様々です。派遣や正社員、フリーなどがあり、企業と言っても大手もあればベンチャーもあります。それによってメリット・デメリットが変わってきます。
まず、正社員として働くのであれば大手とベンチャーどちらがいいのでしょう。この業界に関してよく耳にするのが「イキがいいのはベンチャー。新技術に多くふれることで、技術や感性が磨かれる」ということ。確かにベンチャーは風土的にそういう部分はあります。しかし、大手ですと、教育制度が充実していたり、大手であるからこその大プロジェクトに参加できたり、先端の研究分野に参画できたりと、違った良さがあります。要は何を学びたいのか、どうスキルアップしたいのか、ですね。
また、他にもよく聞く勘違いはあります。それは「フリーになったほうが稼げる」ということ。確かにフリーですと、エンジニアなら月額70万前後は普通のようですし、出世が関係ないので、煩わしさがありません。しかし、ボーナスも各種保障もなく月70万で、年収にすると840万。5年、10年先を考えれば、決して高額ではありません。そして何より技術の向上を続け、能力と成果を認めさせ続けるという部分は会社員よりもシビアで、場合によっては将来的に稼げる額も逆転することも考えられます。本人の実力、努力、自信次第なのです。結局のところ、どう働いていきたいのか、ですね。
それでは、正社員と派遣社員の違いを見ていきましょう。
まず、正社員のメリットは、やはり技術面で、派遣より重要度の高い案件を任せられ、充実した教育制度を受けられることです。当然企業としては正社員の技術力を向上させたい、投資したいと思うわけですので、資格取得用の講習費や試験費用を出してくれるのも正社員のみとなります。また、転職の困難な時期になってくると社会的なステータスが安定しているというのも魅力です。
しかし、デメリットを考えると、やりたい仕事に就けない可能性があります。基本的に人事異動には逆らえませんので、やりたい分野に配属されない可能性、また客先の常駐などをさせられる場合もあります。その他にも給料が安いという大きなデメリットもあります。社会一般からすれば当然平均より高額かとは思いますが、派遣に比べると低くなります。残業代が正確にでないような企業ですと、よりその傾向が感じられるでしょう。
それでは派遣社員のメリットをみていきましょう。一番のメリットは自分のやりたい仕事を詳細に選択可能ということです。要望をきちんと伝えればそれに沿った求人を紹介してくれる為、相応な技術を持っていれば本当に自分のやりたい仕事というのができます。また、技術力によって異なりますが、高収入が得られることです。インテリジェンスのエンジニア派遣で「cisco」というキーワードで検索してみてください。色々な案件がありますが、残業代を含めれば、45〜50万くらいが多くあります。技術によっては80万以上の案件もあります。(金額でも設定検索できますので、見てみてください)正社員では、この額はなかなか難しくなります。
逆にデメリットは何かと言えば、30代半ばを過ぎるときつくなってしまうことです。年収のピークもその頃ですし、その年代になると、技術力よりもマネージメント力を求められるようになります。マネージメントは正社員が担うことになりますので、年下から指揮命令を受けるようになり、居づらくなる可能性があります。また、企業によっては、派遣は正社員のアシストという認識をしていることもある為、技術レベルの低い仕事で毎日ストレスを抱える可能性も多くあります。
以上で派遣と正社員のメリット・デメリットを見てきたわけですが、職場環境や価値観、技術力により異なってくる為、給与と技術の面のみで考えるならば、以下の働き方が最も給料と技術を高く得られるスタイルと言われています。
20代前半までを投資時代と考え、正社員で過ごします。年収は350〜550万。その後20代半ば〜30代半ばまでを黄金時代と考え、派遣社員として働きます。年収は600〜1000万。30代後半からは安定時代と捉え、正社員に舞い戻ります。年収は700〜900万です。派遣と正社員の両方を経験することで給与と技術力を大きく引き上げ、職場を変えることで様々な出会いを作り、それにより感化され、エンジニア以外の道を見つけることで可能性を広げられると考えられています。正社員として企業に入っても客先常駐することになることもあります。それぞれいい面も悪い面もありますが、まずはどういった働き方をしたいのかを自分の中で把握する必要があります。
転職を成功させるには
現在エンジニアの劣悪な職場環境は、企業でも問題視されており、各企業少しずつその改善に着手しています。エンジニアが作ったベンチャー企業では、コミュニケーションエリアを重視して設計したり、個人のデスクは広く、また営業の声がエンジニアにきちんと届くよう壁をなくしたりと、オフィス環境を改善することでメンタルな面を守ろうという動きが活発化しています。
また、大手企業では、在宅勤務制度や短時間勤務制度、ホームタウン制度を取り入れることで、勤務体系を見直し、超過労働による不合理化を防ごうとしています。方法は違うにせよ、エンジニアの心身共に働きやすい環境を作ることで、よりよい技術を提供してもらおうとしています。やはり働く立場としても働きやすい環境に席を置いたほうが、例え多少の給料ダウンがあったとしても長期的に見れば自分にプラスとなるはずです。それでは実際に転職に成功した事例をご紹介しましょう。
Cさんは、転職前は10時出社で22時退社というのがいい方でした。泊まり込みし、寝袋で仮眠という日も多々あり、仕事以外の時間は全くなく、やっとの休日は体力温存の為に24時間睡眠というのが当たり前の生活でした。とうとう自律神経失調症になり、転職を決意。転職後は、残業はほとんどなく、半年先までスケジュールがわかっている為、落ち着いて仕事を進められるし、勤務時間中に勉強時間を取れるそうです。そのお陰で、心理学の本なども読めるようになり、商談で有利に話を進められるとのことでした。
また、Dさんは、ソフトウェアのリリース前2〜3ヵ月は毎日真夜中に帰宅し、朝5時に起床する為、睡眠不足で真っ直ぐ歩けなかったようです。余暇時間は全くなく、ストレスで10キロ太ってしまい、転職を決意。面接で残業がないことを確認して入社し、転職後は計画的に時間を管理し、マイペースで仕事に励んでいるそうです。今は余暇時間を遣って資格の勉強に励んでいるようで、とても充実しているとのことでした。
初めの方にも書きましたが、エンジニアで転職を考える人は多くいますが、その割に実際に転職する人は多くはありません。そして転職しても全員が満足しているとは限りません。それはまだまだこの業界の3Kという状態が根強く残っているからだと言えます。
しかし、改善しようと努力している企業も多くあり、そこで生き生き働いているエンジニアがいるのも確かです。しかし、労働時間が長いからといってそのエンジニアが不満なのか、他の企業に行きたいのか、といえばそうではありません。その人それぞれに合った働き方というのがあって、合う環境も様々です。実際色々調べていくと、@とう意見が良いというエンジニアもいれば、それはどうかと思うというエンジニアもいました。
まずは将来設計をたててみてください。自分はとにかく働いて技術を磨いて暮らしたいのか、資格の勉強をする時間がほしいのか、余暇を楽しみたいのか、何に重きを置いていきたいのかを考え、スペシャリストになりたいのかゼネラリストになりたいのか、ならどんな働き方が合っているのか、自己分析してみてください。そして他人のアドバイスを受けるのもいいのではないでしょうか。スタッフサービスをご紹介しておきます。一度相談してみると答えがでるかもしれません。忙しい人の為にメールでの相談も受け付けています。是非活用してみてください。週労働時間が25時間減れば、年間で約2ヵ月も得します。健康的に仕事をし、人生を楽しんでください!
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